切歯扼腕

【漢字】切歯扼腕
【読み】せっしやくわん
【意味】悔しさで歯をくいしばり腕を強く握りしめる仕草。
【例文1】試合で大逆転され、切歯扼腕。
【例文2】1秒差で負け切歯扼腕で悔しい。
【例文3】切歯扼腕で悔し涙を流す。

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「切歯扼腕」の示す長年の怨恨

「切歯扼腕」の「切歯」は歯ぎしりすること、歯をくいしばること。「扼腕」はぎゅっと腕をつかむことです。「切歯扼腕」とは、「ものすごく憤り、怒り、非常に悔しがるようす」の意味です。もともとは司馬遷の記した歴史書「史記」の中の「張儀伝」に出てくる逸話から生まれた言葉です。戦国時代の荊軻(けいか)は秦の秦王(のちの始皇帝)に恨みを抱いていた燕の太子丹に食客として招かれ、秦王の暗殺を依頼されます。荊軻は秦の樊於期(はんおき)に相談します。樊於期は秦の軍人でしたが、秦王に恨みを抱き、クーデターを画策していました。すると彼は「これこそ自分が日夜、切歯扼腕して心を砕いてきた(願い考え続けた)ことだ」と言うなり、自分の首を自ら切り落としました。荊軻はその首をクーデターの首謀者として、秦王に差し出すことで謁見に成功しますが、暗殺には失敗し乱闘の末に殺されてしまいます。想像するだに恐ろしい展開ですよね。史記ではよく、四文字熟語でいろいろ表現されていますが、「切歯扼腕」だの「臥薪嘗胆」だのと積年の恨みつらみというのは恐ろしいものだと思います。それがどこの国でも戦国時代の倣いですから、仕方がないとはいえ、悲しい時代です。