藪医者

【漢字】藪医者
【読み】やぶいしゃ
【意味】野暮な医者がなまって藪医者となった説がある。適切な治療技術が劣った医者を言う。本来は名医を藪医者と言っていたが、いつからか逆の意味になったしまった。
【例文1】あそこは何かにつけて風邪だと診断する藪医者だ。
【例文2】肺の影を見落とすなんて藪医者だ。
【例文3】充分な説明もなく藪医者だ。

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 「藪医者」という言葉が死語にならない不思議

病気の見立てや治療が下手なお医者さんのことを藪医者と言います。「あのクリニックに行くのはやめておいた方がいいよ、藪だから」というような使い方をしたことがある人、人からそういう話を聞いたことのある人は少なくないでしょう。
今でも、よく使われる言葉ですが、その語源は諸説あって、はっきりしないようです。
「藪柑子(やぶこうじ)」という植物がありますが、これは「柑子に似ているけれど、柑子とはちがう劣ったもの」という意味。つまり、「藪」には本来のものとは似て非なる子のという意味があるところから、「似非(えせ)医者」の意味で使われるようになったという説。
評判が悪く、ふだんはまったく患者が来ないのに、風邪が流行して医者不足になると、患者が来るようになる。つまり「カゼで動く」ところから「藪」と呼ばれたという説。
「藪をつついて蛇を出す」ということわざがありますが、そのように余計な治療をしてかえって病気を悪化させてしまうから「藪」と言われたという説。
他にもあるようですが、個人的には「藪蛇」から来たという説が一番腑に落ちるような気がします。
ところで、昔は医者は免許制でなかったため、怪しげなお医者さんがたくさんいたようです。落語を聞いていると、「医者にでもなろうか、と考えて安易に医者になる人を『でも医者』と呼んだ」という話が出てくるほどです。
しかし、今はむずかしい試験に合格する優秀な人でなければ、医者になることはできないはず。にもかかわらず、いまだに「藪医者」という言葉が死語にならないのが不思議でなりません。