背水の陣

【漢字】背水の陣
【読み】はいすいのじん
【意味】海を背に陣を取り、あえて逃げ場をなくし必死に戦う意味から、不利な中、全力を尽くすという意味。
【例文1】滑り止めなしの受験なので、背水の陣で勉強する。
【例文2】年齢制限もあり、今回が最後のオーデションに背水の陣で挑む。
【例文3】2名退場者が出たが、背水の陣で戦う。

背水の陣をテーマにした記事

12歳の背水の陣

私の子どもが中学受験をしました。
田舎に住んでいて、中学受験は珍しい土地柄です。受験校も一校しかありません。
仲が良かったママ友に、小学校四年生の終わりに、地元の中学校に行かないかもしれないことを伝えました。
そしたら、次の日から会話の中で度々嫌味を言われ、彼女の息子さんから学校で息子が少しいじめられるようになりました。
勉強には興味がないという顔をしたお母さんも、実は全然そんなことなくて、何か地雷を踏むと豹変するんだといい勉強になりました。
まだ五年生になる前でこの辺りでは、受験勉強を始めるには早過ぎる時期だったのに、そこまで悔しがる彼女が一緒に受験をしたいと言わなかったのが不思議です。
彼女の息子さんは、勉強はできる方でした。成績表は息子より良かったようです。
私の不注意な言動で、すっかり息子を窮地に陥れてしまい2年が過ぎ、いよいよ受験直前、最後の二ヶ月は塾で本番同様の直前演習が始まりました。
結果はすぐに返却されます。この時になって、息子は凡ミスを連発するようになりました。
あせった私は、ママ友のやっぱりねという顔を想像しながら、息子に叱咤激励の嵐。
息子はプレッシャーからか、更に順位を落としていきました。
浮上することなく試験当日になり、私はいろいろ考えてしまいました。
このまま受験失敗して地元の中学に通うことになれば、彼は更にいじめられてしまうかもしれません。
まさに背水の陣。背後には絶対に避けたい世界が広がっています。
この日の朝は怒るのをやめて、できないことはできないから、自分にできることを全部出し切ってきなさい。と声をかけました。
無事、息子は合格しました。
合格を知ったママ友は、私に声をかけて来なくなりました。
楽しく中学校に通う息子を見て、本当に良かったと毎日ホッとしています。

背水の陣の言葉の意味と使い方

背水の陣と言う言葉ですがその意味は、切羽詰まった状況の中で、もう後が無い状況に身を置き必死になって物事に当たると言う意味を表しております。これは中国故事に由来されており「漢と趙の最終決戦」での漢の取った作戦から来ているとされております。漢の部隊はあえて川を背にした場所に陣を敷き決戦を迎えましたが、背後に川がある事から漢の部隊は退却する事が出来ない為、決死の覚悟で戦いに臨み、勝利を収める事が出来たと言う事です。現代の一般社会や生活の中では「戦い」では無く、起こった事柄に対する対応の仕方として使用されます。具体的な使い方としては、「受験の志望校は一校に絞り背水の陣で受験勉強に取り組む」や、「この仕事は背水の陣で取り組まないとお客から多大なクレームを受けてしまう」等の様に、とにかく後が無い状況に追い込む時に使用します。又、背水の陣の言葉は、物事がうまく行った時には良いのですが、うまく行かなかった時は全滅してしまう等の意味合いがある事から、その様な本当に窮地に立った時に使うのが正しい使い方であると考えます。同じ様な意味合いを持つ言葉としては、「絶体絶命」や「九死一生」等があると考えますが、言葉を使う前の「覚悟」を決める時に使用するのが適切であると考えます。

背水の陣とは

背水の陣の意味は、切羽詰まっていて、もう一歩もひけないぎりぎりの状況のことを言います。または、このような状況に身を置いて、必死に物事に取り込むことをも言います。これは、中国の「史記」准陰侯伝に記された故事からの言葉です。漢の韓信という武将が、川を背に陣を立て、味方に必死の覚悟を固めさせて、趙(ちょう)の軍勢を破ったという故事からできました。背水、すなわち川を背にして布陣をしたためにこの言葉が生まれたのです。背後が川では勝てば良いのですが、負けたなら逃げる場所がありません。全滅か溺死です。ですから、もう逃げ場がないと兵士たちは必死に戦い、自分よりも強い相手に勝つことになったのです。
では、現代ではどのような使い方をするのでしょうか。ただ苦しい状況になったときに言う言葉ではありません。ぎりぎりまでやらなかった宿題に追われる状況で、この言葉を使えばかっこよく聞こえるかもしれませんが、これは間違った使い方です。例えば、志望校を一校しか受験しないとか、この仕事を失敗したら退職しますと宣言したような場合は背水の陣に当たります。つまり、失敗したなら困った状況になるようにして、否応なしに頑張るしかないようにすることなのです。