敵に塩を送る

【漢字】敵に塩を送る
【読み】てきにしおをおくる
【意味】戦国時代に上杉謙信は、越後から塩不足に悩む武田信玄の領地・甲斐(山梨県)信濃(長野県)へ塩を送り、領民を助けた。相手が苦しい立場にある時には助けてあげること。
【例文1】試合の相手チームの給水がなくなったので水を分けてあげた。敵に塩を送る。
【例文2】同じ境遇者同士、敵に塩を送る。
【例文3】敵に塩を送るのは誰にでもできる事ではない。

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スポーツ中継で「敵に塩を送る」

「敵に塩を送る」は、敵であろうと苦しんでいたら手助けをする意味があります。この言葉を聞いた時に私は、あるスポーツで起きた出来事を思い出しました。それは2014年に開催された冬季ソチオリンピックのクロスカントリー男子スプリント準決勝戦です。
ロシアの選手が競技の途中でスキーが折れてしまい、それでも懸命に完走しようと走るロシアの選手ですが、何度も転倒してしまいます。もう完走が絶望的と誰もが思ったその時、その光景を見かねたカナダチームのコーチが、自チームの予備のスキー板をロシアの選手に履かせ競技を続行させました。
少し「敵に塩を送る」とは意味が違うかもしれませんが、この出来事も、順位を争う大会、しかも国の威信を掛けた4年に1度のオリンピックでのことなので、非常に意味があると思います。
スポーツの世界では極稀に、そうした光景を見ることがありますね。お互いを称え合う「ノーサイド」のような意味合いも「敵に塩を送る」に含まれている気がします。敵のために何かをすることは、なかなかできませんし、その行為によって味方の被害が拡大するリスクも存在します。それでも同じ人間として何処かで繋がっていて、人間捨てたものではないと感じました。

敵に塩を送るとは

敵に塩を送るとは、敵の弱みにつけ込まず、逆に苦境から救う事をいいます。この言葉は、戦国時代、上杉謙信が敵国の武将武田信玄の領国である甲斐国が塩不足に苦しんでいるのを知って、塩を送ったという故事によるものです。
相手の弱みを知って、そこを突けば勝てると言うときに、あえて手を差し伸べて助け、同等の立場になってから戦うということです。例えば、格闘技などで相手が負傷をしていた場合には、そこを狙えば間違いなく勝てるのに、負傷箇所を狙わずに勝負をするというようなことです。良く大相撲で怪我をした力士の負傷箇所を狙わずに取り組んでいる姿を見かけますが、あれも同じ精神なのでしょう。
また、ビジネスにおいても、何かが不足していてライバル会社が苦境に陥っているときに、不足しているものを補給してあげるというのも、塩を送る精神なのでしょう。スポーツの試合やビジネスは真剣勝負です。そんな時に、何きれい事をいうのかという声も聞こえそうです。確かに、相手の弱い所を付いて勝利を得ても、それは誰にも避難はされません。しかし、自分の心の中ではどうでしょうか。自分は相手が対等ではないのに、攻め込んだと後になって悔やむことにならないのでしょうか。なにか、事を起こすとき、ちょっと考えてみるのも良いことでしょう。