邯鄲の夢

【漢字】邯鄲の夢
【読み】かんたんのゆめ
【意味】人生はかないものである。栄華が想いのままになるという枕を借りて寝たところ、立身出世を極めた夢だったが、実際はお粥も炊けていない程の短い夢だった。「枕中記」の故事より。
【例文1】彼の人生は邯鄲の夢だ。
【例文2】天涯孤独で邯鄲の夢だ。

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邯鄲の夢に学ぶ人と比べることのばかばかしさ

邯鄲の夢という故事では、人の一生は飯炊きの合間のうたた寝で見る夢のように儚いということを述べています。
堅苦しいと思われがちな中国の故事ですが、私たちの生活に落とし込むと毎日をよりよく過ごすヒントが隠れています。
この邯鄲の夢からは、人と比べることのばかばかしさを感じ取ることができます。自分より美人な友達の人生も、自分より出世している同級生の人生も、そして自分の人生も皆同じように夢のように消えてしまう一瞬のものなのです。人と比べて辛くなるのは、自分の人生も他人の人生も重要視しすぎているからです。
壮大な自然や、地球、はたまた銀河系、宇宙の長い歴史を思えば、人生などチリや煙のようなものです。こっちのチリよりあっちのチリが良い、とイライラしているのはばからしいでしょう。それと同じで、自分と他人を比べるのは無意味なのです。
それでは邯鄲の夢は人生を軽視しているかと言えばそうではありません。容姿、資産、家柄などを比べて相手の方が良く思えても栄枯盛衰で一瞬のことなので、嫉妬して気に病む必要はないということを述べているのです。また、一瞬のことだから肩の力を抜いて毎日をごきげんに過ごしていこうとも読み取れます。

邯鄲の夢を経験した先輩

私の元上司にとてもすごい方がいます。若い頃は営業で常にトップの成績を獲得し、その後は海外支社に行くという王道の出世コースに乗りました。日本に帰ってきてからは大きな事業を担当することとなり、部下への配慮もバッチリ。何か困ったことがあったらまずはその上司に相談するというのが当然の空気になっていました。他の上司や先輩に相談しても解決しないことが多く、結局二度手間になっていたからです。結果上司の負担は増えていったのですが、それもサラリとこなしてしまうのです。
その上司が更に昇進した後、引き継いだのが私と仲の良い先輩でした。わりと地味なタイプの先輩だったのですが、超ド派手な上司の後釜に入ったので勘違いをしてしまったんですよね。上司が仕事を確立させた上での引き継ぎだったので内容の重さは全然違いますが、あの凄い人の後釜に入ったとちょっと噂になったのです。
もちろん先輩も鼻高々、いなくなった上司の代わりに先輩を頼る方が増えました。しかし、栄枯盛衰は儚いもの。元々実力があるわけではない先輩に対して幻滅する人が増えてしまったのです。その後は結局上司の影響が大きすぎたのだと考えを改める人が増えましたが、先輩はまさに邯鄲の夢を体験したのでした。