気がない

【漢字】気がない
【読み】きがない
【意味】関心や興味がない。
【例文1】彼は何をするにもその気がない。
【例文2】綺麗な女性にしか気がない。
【例文3】その気がないのにじらす。

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「気がない」の代表「虫めづる姫君」

「気がない」とは「関心がない、恋い慕う心がない」ということです。この言葉で連想されるのは「堤中納言物語」に出てくる「虫めづる姫君」です。この時代の位の高い家の娘は通い婚でしたから、几帳の中にひっそりと居て、和歌をたしなんだり侍女と貝合わせに興じるなどし、お香を焚いた着物をまとい、眉毛を抜きお歯黒で歯を染めて、夫の来るのを待つというのが日常でした。ところがこの物語の主人公のお姫様は、眉毛はぼさぼさでお歯黒も塗らず、虫を観察するのが趣味であり、中でも一番好きなのは毛虫。侍女は寄り付かず、身分の低い男の子が世話係をする始末です。両親は娘がそういう風では先々を心配しています。何しろ通ってくる夫君がいなければ家が絶えてしまいますからね。それでも姫様は一向に「気がなく」、毛虫が羽化する様子を観察することが、どれほど大事かを説いてきます。挙句の果てには「鬼と女とは見えない方がいいのよ」などと利口ぶった口を利くので、両親は困り果てているのですよというお話です。変わり者のお姫様の単なるうわさ話として書かれているこの話が、現代まで古典の教科書に載っているのは、当時の習俗や考え方がわかることと、世間的な常識からは逸脱しているけれど、このお姫様は只者ではないのではとも読み取れるところが楽しい話だからでしょうね。