息が絶える

【漢字】息が絶える
【読み】いきがたえる
【意味】力尽きて息を引き取る。死を意味する。
【例文1】家族同然のペットがとうとう息が絶える。
【例文2】今にも息が絶えそうだ。
【例文3】愛犬の息が絶える。

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「息が絶える」で思い出す短歌

「息が絶える」とは想像できるとは思いますが、人が亡くなることです。
「息が絶える」という言葉で思い出すのは、夭折の天才女流歌人、河野裕子さんの遺作です。「手を のべてあなたとあなたに触れたきに息が足りないこの世の息が」。この歌を詠んだ翌日に彼女は乳がんで亡くなりました。河野裕子さんは短大の在学中に「たとへば君 ガサッと落葉すくふやうに私を攫つて行つてはくれぬか」という短歌で賞を受賞し、鮮烈なデビューを飾ります。
まだ女学生だったことを考えると、やはり天才だと思ってしまいます。その後、歌人の永田和弘さんと結婚して家庭生活を送り、その間にも精力的に短歌を詠み続けます。私は彼女の作品の中でこの三つが好きです。「しっかりと飯を食はせて陽にあてしふとんにくるみて寝かす仕合せ」「朝に見て昼には呼びて夜は触れ確かめをらねば子は消ゆるもの」「子がわれかわれが子なのかわからぬまで子を抱き湯に入り子を抱き眠る」子を持つ母の心情をよく表現されていると思うのです。三つ並べると深すぎる母の愛情にドン引きされる方もあるかもしれませんが、でも、わが身を顧みて、ここに表現される彼女の愛情の半分も自分は子どもに愛を注いでいるだろうかと考えてしまうのです。その河野裕子さんの二人の子どもさんは短歌に携わるようになりました。彼女が最期に残したこの世の息は、確実に受け継がれているのです。