元の木阿弥

【漢字】元の木阿弥
【読み】もとのもくあみ
【意味】戦国時代の武将筒井順昭が病死した時、敵を欺くため死を隠し、姿が似ていた木阿弥という男を嫡子の順慶が成人するまで寝床に就かせた。成人後、順昭の死を公表したので、木阿弥は用済みで元の身分に戻ったことから、一旦良くなったものが元の状態に戻ること。
【例文1】彼の部屋は片づけても3日で元の木阿弥の繰り返し。
【例文2】プチ整形が数年後は元の木阿弥だ。
【例文3】リバウンンドして元の木阿弥だ。

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「元の木阿弥」の故事

戦国武将の筒井順慶は織田信長に反旗を翻した松永久秀を、明智光秀と共に倒して大和国を治めることになりますが、後年、明智が本能寺の変を起こすと、明智についたものの形勢の変化に態度を変えて豊臣秀吉側に寝返り所領を守りました。そのため後世では二股をかけた人の呼び名として名前が残っています。その筒井順慶に関わるもう一つの言葉がこの「元の木阿弥」です。彼の父筒井順昭が病に伏し、死を覚悟した時に幼い嫡子順慶の行く末を案じて遺言します。それは自分と声音の似た盲人木阿弥を呼び寄せて、薄暗い寝所に彼を寝かせて息子が大きくなるまで自分の死を隠すというとんでもない策でした。しかし、周囲の者は遺言通りに事を運び、順慶が成長してから順昭の死を公表します。公表したのち、木阿弥は元の市中に放出されます。その有り様から「いったんはよくなったものが再びつまらないものになること、苦心したものが水泡に帰すこと」を「元の木阿弥」というのです。同じ戦国武将の武田信玄も遺言により死後3年経ってから、死が公表されます。
武将も自分の子どもの立場を守るために必死だったことがうかがえます。現代ではそうはいきませんね。