襟を正す

【漢字】襟を正す
【読み】えりをただす
【意味】衣服の襟を整えて気を引き締める。
【例文1】明日は入社式だ。気合いが入るよう襟を正す。
【例文2】面接試験で襟を正す。
【例文3】結婚のご挨拶に襟を正す。

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衣服を整えることで気持ちを引き締める

「襟を正す」の語源・由来は昔長安の有名な易者に会いに行った役人たちが易者の易にとどまらない深い博識に感動して自然に冠の紐を締め直し上着の襟を正しきちんと座り直して話を聞き続けたという故事に基づくものです。このことから今までを反省し改めて身を引き締めて事に当たる事を表すようになりました。「自分の乱れた衣服や姿勢を整えること」の外見的な意味と「それまでの態度を改めて気持ちを引き締めること」やの内面的な意味があります。
また「真面目な気持ちで物事に対処する」という態度を示しています。会社などで上司に「皆、襟を正して聞くように!」と言われて思わずスーツや作業服の襟に手をやり整えていると「君は何をやっているんだ?」と笑われてしまいそうです。これは「皆、気持ちを引き締めて聞くように!」という意味で言っていて服装を正して聞きなさいという意味で言っているわけではないからです。そもそも会社では皆きちんとした身なりをしているでしょうし自堕落な格好をている人はいないと思います。しかし「襟を正す」には服装を整えるという意味と気持ちを引き締めるどちらの意味もあるし服装を整えることで気持ちも引き締まるのであながち間違っているとも言えません。

「襟を正す」とは洋装文化の言葉です

「襟を正す」とは「姿勢や服装の乱れを整え、きちんとすること。心をひきしめ真面目な態度になること」です。この言葉は洋装が外国から入ってきてからの言葉です。江戸時代には和装でしたから、襟口のことは衣紋と言いました。職人さん以外では着物は襟をきちんとして着るのがマナーでしたが、家では衣紋を抜く、つまり襟元をゆったりと広げて着る、いわゆる暑さ対策です。また、そのように着ていることが粋でした。しかし、お客さんが見えたり、買い物になどで表に出る時には襟を正して礼儀正しくします。それを「衣紋を繕う」と言いました。ですから、今でもある程度の年配者はハンガーのことを衣紋掛けと呼びますよね。現代でも和服を着た時やお祭りの半纏を着た時など、どれくらい衣紋を抜くかが、考えどころです。あまり抜いてはだらしがないし、衣紋を抜かずにぴちっと着すぎても、ぜに首みたいでおかしい。どの程度抜くのが粋か。また、年によっても変わります。若い人があまり抜いていては遊び人か、好き者かと見られますし、本当に迷います。そんな時には年上の方にご意見を伺うのが常套手段。衣紋の話ではありますが、襟を正して拝聴します。絶妙なご意見が出てきます。さすが年の功です。「年配者が一人亡くなることは図書館をひとつ失うのと同じ」という言葉がある国がありますが、皆さんも「襟を正し」て年配者の意見を傾聴してみませんか。貴重な収穫があるに違いありません。