ミイラ取りがミイラになる

【漢字】ミイラ取りがミイラになる
【読み】みいらとりがみいらになる
【意味】人探しに行った人が、その目的を果たさずにとどまって帰ってこなくなること。
【例文1】遊びに出たっきりの弟を連れ戻しに行った兄まで、ミイラ取りがミイラになってまだ帰ってこない。
【例文2】帰宅を促しに行った同僚が、飲みに付き合わされミイラ取りがミイラになる。
【例文3】結婚詐欺師が本気になりミイラ取りがミイラになる。

ミイラ取りがミイラになるをテーマにした記事

ミイラ取りがミイラになる?は、エジプト発ながら、日本製。

「ミイラ取りがミイラになる、とはこのことだ。」という言葉、よく聞きます。推理小説でも使われています。でも、どういう意味?ミイラって何?って思いますよね。
ミイラはずばり、戦国時代、ポルトガル貿易船から輸入されたエジプトのミイラ=乾燥した死体でした。当時はミイラに、病気療養の薬効があると思われていたのです。万能薬として、日本でも江戸時代には高価な薬として、庶民に知られていました。
ミイラが、乾燥した死体ということを昔の日本人は知っていました。そして、エジプトにミイラを取りに行って、帰って来なくなり、死んでしまった、その死に様はミイラだった、という話もあることも、理解していました。
そこでミイラ取りがミイラになるという話が出来ました。これは日本オリジナルです。
つまり、呼んでそのままの意味なのですね。人工的ミイラを取りにいって、自ら自然的ミイラになっちゃった、ということなのです。
総じて、人を連れ戻しに行った者がそのまま帰ってこなくなる。転じて、相手を説得するはずが、逆に説得されてしまった。としても、使われます。
エジプトのミイラを原題にした言葉なんて、ワールドワイドさを感じさせますね。使われ始めたのは、歌舞伎などの芸能からだそうです。当時の日本の人にとっては、エジプトなどは想像もつかぬ遥か果ての国だったですから、かなり想像を巡らしたことでしょうね。昔からエジプトのミイラの影響力はすごいですね。

「ミイラ取りがミイラになる」の元ネタは!

例えば喧嘩の仲裁に向かった人が巻き込まれて、率先して喧嘩に参加してしまう。ミイラ取りがミイラになるとはこんな情景を示した言葉ですが、大元になったネタはご存知でしょうか?
ミイラとは言わずとしれた、死体が乾燥したものです。一般的には腐敗した肉や皮は無く、既に骨のみになってしまったものを指すかと思います。このミイラ、実は普通にしていると出来ません。少々グロテスクな話になるので割愛しますが、最終的に骨のみのきれいなミイラを作るためには低温でかつ乾燥した空間に安置しなければなりません。大昔、死後にそういった処置を施されるのは高貴な人々のみでした。こういった高貴な人々が死んだ際には、大きな墓を作るのが習わしですが、同時にその墓には宝物も一緒に眠らせるのが一般的でした。これは、死後の世界でも今の権勢を持っていけるように、という発想だったようです。
ミイラ取りとは、こういった王族の墓に眠る財宝を狙う墓荒らしの事です。中には上手く盗み出して一財産を築けた泥棒も居るようですが、この手の墓は外へ出ることを一切考えて作られていないため、無理やり入ったはいいものの外に出られなくなってしまい墓の中で死んでしまう事例が後を絶ちませんでした。そして墓の中はミイラ化するのに適した条件ですので、哀れ盗人もまたミイラになり・・・という次第です。
余談ですが、日本では風土的にミイラが出来にくくなっています。乾燥した季節が短く、年間を通して多湿であるためです。なので、日本人にはこの言葉は今ひとつ実感を伴わないものかもしれませんね。