白羽の矢が立つ

【漢字】白羽の矢が立つ
【読み】しらはのやがたつ
【意味】大勢の中から犠牲者として選ばれること。現在は名誉ある表現にも使われるようになった。
【例文1】専業主婦の私に白羽の矢が立つ。町内会の役員を押しつけられたのだ。
【例文2】1万人のオーディションから白羽の矢が立つ。

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物語の力~白羽の矢が立てられた娘の話から考える

こどものころ読んだ昔話です。
ある村では、年頃の娘を毎年一人、神様に供えなければならなかった。人身御供に選ばれた娘の家の戸には、白羽の矢が立ったという話です。
これにはバリエーションが多くあります。人身御供を選ぶのが、神の使いだったり、村の寄合だったりしますし、神様も龍神や山の神など、分岐は無尽です。神だと思っていたのが、実は大猿だったので、供えられた娘や通りがかりの旅人が知恵を尽くして退治する顛末もあります。
庄屋が自分の娘を選ばれるのを怖れて、身寄りのない貧しい娘の家に矢を刺した、というものが一番好きです。娘の境遇を憐れみ、庄屋をはじめ、村人たちの所業に激怒する神は、天罰を下すのです。
昔話では、こうした勧善懲悪が往々にして見られます。弱者は善良であっても、汲々として生きていくしかない理不尽な世の中で、こうした胸が空く結末を求めました。現実にはありえないからこそ、空想の世界では自由に悪者をこらしめ、来ないであろう正義のヒーローを心のどこかで待っていたのです。
物語は、人々に生きる力を与えていました。書物だけでなく、漫画やアニメ、ゲームなどエンターテイメントの世界に、あまねく物語の力は息づいています。