鬼も十八、番茶も出花

【漢字】鬼も十八、番茶も出花
【読み】おにもじゅうはち、ばんちゃもでばな
【意味】鬼も年頃になればそれなりに美しく見え、粗末な番茶も出花は香りが良い。つまり年頃になれば、それなりに魅力的に見えてくるものである。他人に褒められて身内が謙遜して使う言葉。
【例文1】娘さん綺麗になりましたね。(父親)いや、鬼も十八、番茶も出花だよ。
【例文2】母に鬼も十八、番茶も出花と言われて複雑な気持ちだ。
【例文3】化粧が上手で鬼も十八、番茶も出花だなと父が言う。

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「鬼も十八、番茶も出花」にまつわるエピソード

私は「鬼も十八、番茶も出花」ということわざを小学生の時に覚えました。このことわざ、子どもが使うようなものではありません。それを、小学生の時に覚えたのには、ある理由があります。
休日、両親と外出した際、町でばったり、母の知人の家族と出くわしました。あちらはご夫婦と高校生ぐらいの娘さんの三人連れです。その娘さんと久しぶりに会った父は、あちらのご両親にこう言ったんです。
「お嬢さん、すっかり成長なさって。鬼も十八、番茶も出花、ほんとに見違えました」
あちらのご夫婦が変な顔をしたことを覚えています。その一家と別れた後で、母は父に声を荒らげてこういったのです。
「あなた、なんて失礼なことを言うの! 鬼も十八、番茶も出花だなんて、よそのお嬢さんに言う言葉じゃないでしょ。ほんと、恥ずかしい」
その後、両親は険悪なムードに。
母から聞いてわかったのですが、父はこのことわざを「女性が年頃になって魅力的になった」という良い意味に誤解していたために、失礼な使い方をしてしまったのです。
このことわざの正しい意味は、「鬼の醜い娘でも、十八歳ぐらいの年頃になれば、それなりに女らしく魅力的に見えるものだ」というもの。ですから。父は、その知人のお嬢さんを「鬼の娘」に喩えてしまったわけですね。
ちなみに、後半の意味は「安い番茶でも、淹れたてはそれなりにおいしい」ということになりますから、父はお嬢さんを「安い番茶」にも喩えてしまったわけです。