「嚢中の錐」とは、才能のある人はどんなに隠しても世に現れることの例えです。
意味
「嚢中」は袋の中、「錐」はとがった先の金属製の道具です。袋の中に錐を入れても、錐の先は自然と袋の外に突き出てしまうことから、才能のある人は隠そうとしても、その才能は自然と現れて目立ってしまうという例えになっています。
由来
「嚢中の錐」は、中国の古典『史記』の「平原君伝」にある故事に由来しています。
戦国時代、趙の平原君が楚に支援を求める使者を選ぶ際に、毛遂という人物が自薦しました。毛遂は当時まだ無名の人物でしたが、平原君は彼の才能を見抜き、使者として選びました。毛遂は楚の王に謁見し、見事な弁舌で楚を味方につけることに成功しました。
この故事から、「嚢中の錐」という言葉が生まれました。
例文
- 彼はずっと謙虚に振る舞っているが、彼の才能は周囲の人から一目置かれている。まさに嚢中の錐だ。
- 彼女は幼い頃から絵の才能に溢れていた。周囲の反対を押し切って画家になった彼女は、今では世界的に有名な芸術家だ。まさに嚢中の錐と言えるだろう。
類義語
- 錐を嚢中に隠すべからず
- 璞玉磨けば光あり
- 千里馬は常に良馬なり
- 栴檀は双葉より芳し
- 金は火を經て純なり