世に伯楽ありて然る後に千里の馬あり

【漢字】世に伯楽ありて然る後に千里の馬あり
【読み】よにはくらくありてしかるあとにせんりのうまあり
【意味】伯楽とは、中国で馬を鑑定する名人。千里の馬は、一日に千里も走ることのできる名馬。どんなに才能があっても、それを見出してくれる伯楽に出会わなかったら、世に出ることは難しいものである。
【例文1】彼女の才能は、世に伯楽ありて然る後に千里の馬ありで父母のお陰で発揮できた。
【例文2】今の自分があるのは監督が世に伯楽ありて然る後に千里の馬ありだ。
【例文3】スカウトマンの目が世に伯楽ありて然る後に千里の馬あり。

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「世に伯楽ありて然る後に千里の馬あり」イチローを見い出した仰木監督という名伯楽

中国の文人が書いた『雑記』の中に「世に伯楽ありて然る後に千里の馬あり」という一節があります。雑記と言うのは思ったことをそのまま、思うがままにつづった文章のこと。日本で言えば、『徒然草』のようなものなのでしょう。
この一節のあとには「千里の馬は常に有れども伯楽は常には有らず」と続きます。
つまり、「世に伯楽ありて然る後に千里の馬あり。千里の馬は常に有れども伯楽は常には有らず」というひとくくりの文章として捉えてこそ、その意味を理解できると考えていいでしょう。
その意味は、「世の中に良い馬か悪い馬かを見分けられる人がいるからこそ、千里も走ることができる優秀な馬が見いだされるものだ。そのように、有用な人材を見い出す能力のある人がいなければ、せっかくの才能が埋もれてしまうことも少なくない」ということでしょう。
最近があまり使われなくなった言葉ですが、以前は繁栄している相撲部屋の親方のことを「名伯楽」などと称したものでした。優秀な弟子を見い出す能力がある親方のことをそう称したわけですね。
この言葉から連想するのが、イチロー選手と仰木監督の関係。生意気で、監督やコーチの言うことを聞かなかったイチロー選手を、「そのままでいい」と言って、その個性的なバッティングスタイルのまま育てたのが、仰木監督でした。
その指導によって、イチロー選手は日本で初めての年間200本安打を達成し、「時の人」になったのです。
今のイチロー選手があるのも、その才能を見い出した仰木監督と言っていいでしょう。まさに、「名伯楽」です。