筆をおく

【漢字】筆をおく
【読み】ふでをおく
【意味】著作家が書くことをやめる。
【例文1】師匠が筆をおき弟子が引き継ぐ。
【例文2】限界を感じて筆をおく。
【例文3】ネタが切れ筆をおく。

筆をおくをテーマにした記事

筆をおく覚悟と賛否

小説家などが連載を終了し、物語を終わらせることを「筆をおく」と言うこともあります。
作品の評価を決定づけるうえで物語のラストというのは重要な意味を持つため、筆をおく前の執筆はより一層の覚悟と気力が必要になるものと思います。
筆をおいたことで賛否両論が巻き起こった作品として「アイアムアヒーロー」という漫画があります。
日本に突如ゾンビが出現し、日常が壊れていくというストーリーで手に汗握る展開は長期にわたって読者を惹きつけました。
しかし完結となる最終巻が発売され描かれていたラストシーンがあまりにも唐突で抽象的だったため、困惑した読者も多くいました。
伏線の回収がなされていないことや謎が解明されないまま終わってしまったことで賛否両論が巻き起こったのです。
期待値の高い作品であったためにその終わらせ方には作者のこだわりや覚悟が見えましたが、私は読者の反応を見て、作品の評価はどこで決まるのかということを考えてしまいましいた。
物語のラストは作品において重要な場面ですが、それが全てであるような考え方はどうにも納得できない部分があります。
とくに漫画のような何年にもわたる長期連載の作品がラストシーンだけで評価されるのはどうかと思いました。
作品の構成やクオリティに対する評価と、読んでいて「面白い」「楽しい」と思う心情的な評価は別物として考えるべきものだと思います。

早く筆をおくことだけが全てではない

どうしても早めに書き上げないといけない書類がある場合、いちいち休んでいられませんね。けれどそういう時こそ書くことを一度やめて、いったん文章を見直してみてはどうでしょうか。文章を書くというのは、頭の中でなんとなく考えていることであったとしても、他者が読んで理解できるようにしないといけませんから、それなりに頭を使う作業です。見返してみると、文章として成り立っていない場合もあることでしょう。特に仕事であれば、できれば早めに終わらせたいという気持ちを持つこともあるでしょうから、文章が乱雑になりがちです。いざ書類が完成したと思って上司に提出したら、文章が読みづらいせいで書類が戻ってきた、なんてことも有り得ます。

文章を書く際、意味が伝わる文章が書けた上で、早く筆をおくことができればそれが最良でしょう。しかし現実はそんなに甘くありません。ときには何人もの人が同じ書類を読み返しても見つからなかった誤字があったりしますし、そうした誤字に気付かないまま商品化してしまって、結果として誤字が原因で、企業が自主回収しなければならなくなった商品もあると思います。文章を書くときは、早く筆をおくことが大事なのではなく、文章の内容が理解されるかどうかの方が大事だと言えるのではないでしょうか。