夜討ち朝駆け

【漢字】夜討ち朝駆け
【読み】ようちあさがけ
【意味】新聞記者が夜遅く、朝早くに取材先を訪問する。
【例文1】芸能人のスキャンダルで、夜討ち朝駆けで近所が報道陣で騒がしい。
【例文2】夜討ち朝駆けでいい迷惑だ。
【例文3】夜討ち朝駆けも楽じゃないよ。

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夜討ち朝駆けは営業テクニックとして有効か?

営業マンが心に留めておくべきテクニックのひとつに『夜討ち朝駆け(ようちあさがけ)』があります。
これはわざと早朝や夜更けに営業先にセールスに赴くという、かつて頻繁に用いられた営業テクニックです。
その由来は源平合戦に端緒をなす合戦の必勝テクニックで、日中に堂々と敵に仕掛けるよりも、誰もが寝静まっているだろう深夜や、まだ眠りの中にいるだろう早朝に奇襲したほうが勝利し易い。そんな相手の不意を狙ったある種、卑怯な戦術ですね。
かつてのビジネス・シーンで夜討ち朝駆けが成功しやすい理由は二点あります。
まず、熱意をアピールできるという点です。
始業時刻にはまだ遠い早朝や、とっくに終業時刻の過ぎた深夜に熱意をもってやって来た営業マンを前にして、よもや契約など結ぶまいと思っていたターゲットもつい情にほだされてしまう。そんな理由です。
そして、早朝や深夜ならば高確率でターゲットと会えるというのが二つ目の理由です。
夜討ち朝駆けが営業マンにとって有効なテクニックとして重宝されていたのは以上の理由で、これはあくまで「かつて」の話です。
インターネットやスマートフォンの普及によって、営業先と連絡を取り合う手段は今や多岐に渡ります。
そんな時代にあって、少しでも眠っていたい早朝や、寛いでいるだろう深夜にインターホンを鳴らされたらどう思うでしょうか?
好印象を与えるどころか、非常識な人間だと思われるのが関の山でしょう。
夜討ち朝駆けが通じるのはもはや新聞記者くらいなもので、多くの営業マンにとってはもはや旧時代のテクニックとも言えます。

実行されると大迷惑な「夜討ち朝駆け」

「夜討ち」とは夜間に敵へ奇襲を仕掛けること、「朝駆け」は相手が起きない早朝から馬を出すことでこれもまた奇襲に通じます。
どちらも相手が休んでいる時間帯を狙って攻め込むもので、尋常な勝負を望むべくもなく、場合によっては卑怯な行為とされます。
記者が言論の自由を大儀に掲げて敢行する場合もありますが、アポイントなしでの突撃取材は良い印象を与えるものではありません。
記者の取材以外でも、およそ一般的な対応時間外の突然の訪問であれば夜討ち朝駆けと言えるでしょう。
常識を踏まえた行動とはされないので絶対にやるべきではありません。
平安時代末の保元の乱では後白河天皇側が夜襲をしていますが、相手方は夜襲を卑怯として実行しなかったとも言われます。
古来より卑怯な戦法として認識されていたことは明らかです。
戦国時代にも奇襲として実行された例が見られますが、敵味方の判別がつかないので同士討ちの危険があるのは言うまでもありません。
一方的に遠距離攻撃をするならともかく、乱戦になっては奇襲をしかけた意味が失われます。
特異な例として倶利伽羅峠の戦いで使われた「火牛の計」(牛に剣と火をつけて突撃させる)もありますが、凡そ常軌を逸した人間としか思えません。
考え付いても実行しないのが普通でしょう。
成果のためには手段は問わない人間が、信頼を失うであろうことはあまりにも当然過ぎます。
その場しのぎの姑息な手段は効果的であっても、弱者の奇策と扱われることにしかなりません。