虎の尾を踏む

【漢字】虎の尾を踏む
【読み】とらのおをふむ
【意味】非常に危険な事や無謀な事をする。
【例文1】事業計画なしで起業だなんて虎の尾を踏むようなもんだよ。
【例文2】ギャンブルで借金を返済しようと虎の尾を踏む。
【例文3】一文無しで上京だなんて虎の尾を踏むよ。

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虎の尾を踏む源義経一行 2つの「勧進帳」

非常に危険なことや、危険を冒すことを「虎の尾を踏む」と表現します。
たとえば会社で、「あのプライドの高い部長の発言ミスを直接指摘するなんて、虎の尾を踏むようなものだ。あのあと、部長に呼びだされなかった?」というような使われ方をします。
それは確かに、虎の尾を踏めば大変なことになるでしょう。同じ意味に、「虎の口に手を入れる」という言い方もあるようですが、こちらはもっと危険ですね。
ところで、私はこの言葉を耳目にすると、2つの「勧進帳」を連想します。1つは歌舞伎の「勧進帳」。源義経が兄頼朝に追われ、奥州へ落ち延びる際に通った安宅の関所での物語を歌舞伎にしたものです。
義経とその家来が、強力と山伏に化けて通ろうとしたところ、正体を見抜かれそうになって、危機一髪、なんとか関所を通ることができたというストーリー。その最後の場面の長唄の歌詞に「虎の尾を踏み、毒蛇の口を逃れたる心地して」という一節が出てきます。
正体がバレれば万事休す。命を取られることは免れません。そんな危険な状況を「虎の尾を踏む」という言葉で表したわけですね。
もう1つの「勧進帳」は、黒澤明監督の映画「虎の尾を踏む男達」。1952年の映画ですが、これは歌舞伎の「勧進帳」をベースにした黒沢監督の傑作の一つです。
そのタイトルが歌舞伎の「勧進帳」の長唄の歌詞から取られたことはいうまでもありません。大河内伝次郎の主演ですが、強力役の榎本健一の演技も秀逸です。