こけら落とし

【漢字】こけら落とし
【読み】こけらおとし
【意味】食べ物の柿と漢字が同じに見えるが、木へんに右のつくりは一を書いてから巾と書き一をつきぬけて書く。杮(こけら)とは木の削りくず。新築や改装工事が終わった際に、出てくる屋根の屑を 払い落として綺麗に仕上げることから、新しくなった劇場にて行われる初公演を意味する。
【例文1】初舞台は満員御礼のこけら落としだ。
【例文2】いよいよ劇場オープニングのこけら落としだ。
【例文3】こけら落としのお祝いに花を贈る。

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こけら落としの語源

こけら落としとは、新規に建設された劇場で打たれる初めての興行や催しを指す言葉で、「こけら」はもともと木のかけらや木片という意味で、建物建築の最後に必ず仕上げで木のくずをはらったり余計な木片を落として完了となる作業からそうよばれるようになりました。基本的に屋根のある建物にしか当てはまらないので、この言葉は劇場のオープニングに使われるのが正しく、屋外の運動場や、競技場のような場所ではたとえ新設でもこけらおとしとは言わないのが普通です。明治44年3月に日本に初めての西洋劇場が誕生して、ルネッサンス様式という鉄骨構造の建築が一躍日本中の注目を集めました。この劇場は帝国劇場と名付けられ、日本で初めての西洋劇場というだけでなく歌舞伎も上演できる日本独特の劇場として新しい歴史をつくりあげたのでした。この帝国劇場ではこけら落とし用に一般公募した脚本が選ばれ催しされたのは「頼朝」という題でありました。こけら落としは今日でも特別な題材をモチーフに座組を作って華やかに演じられることがおおく、最初に’式三番’(能や狂言にちなんで行われる芸能の一つ)を演じたりして、古典儀式を重んじる傾向がまだまだ強い伝統を色濃く残す催しのやり方です。