「引導を渡す」という言葉は、相手に諦めさせるための、最終的な宣告をするという意味を持っています。
仏教用語としての「引導を渡す」
仏教用語としての「引導を渡す」は、死者を葬る前に仏の悟りへと導き、法語で済度してから浄土へ導くという意味です。つまり、僧侶が故人の霊魂を成仏させるために、読経や説法を行い、極楽浄土へ導く儀式のことを指します。
この儀式は、主に以下の2つの段階で行われます。
- 開導:僧侶が故人に仏法を説き、悟りの道を示す。
- 送葬:読経や念仏を行い、故人の霊魂を極楽浄土へ送る。
「引導を渡す」という言葉は、この儀式のなかでも、特に2番目の「送葬」の場面で使われることが多いです。
慣用句としての「引導を渡す」
慣用句としての「引導を渡す」は、相手に諦めさせるための、最終的な宣告をするという意味で使われます。これは、仏教用語としての「引導を渡す」の本来の意味から転じたものです。
つまり、もうこれ以上は無理だ、諦めなさいと相手に伝えることを指します。
例文
- チームは散々な負けを重ね、監督は選手に引導を渡した。
- 何度も注意したが改めないので、ついに彼に引導を渡した。
- 病気との闘いに疲れ果て、彼は自ら命に引導を渡した。
慣用句としての「引導を渡す」を使う際のポイントは、以下の通りです。
- 単なる脅しではなく、真摯な気持ちで伝える。
- 相手のためを思って伝える。
- 状況に応じて、言葉遣いを調整する。
類義語
- 諦める
- 見限る
- 捨てる
- 突き放す
- 絶望する
対義語
- 励ます
- 勇気づける
- 希望を与える
- 支える
- 続ける
その他
- 「引導を渡す」という言葉は、死や絶望のイメージが強いことから、あまり良い意味で使われることがありません。
- しかし、状況によっては、相手を救うための必要な言葉となることもあります。
- 使う際には、慎重に状況を判断することが大切です。
「引導を渡す」という言葉は、仏教用語と慣用句の2つの意味を持つ奥深い言葉です。適切な場面で使えば、文章に深みを与えることができますので、ぜひ覚えておきたいですね。
参考URL:
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