「邯鄲の夢」(かんたんのゆめ)は、人生の栄枯盛衰のはかなさを表す故事成語です。「一炊の夢」、「邯鄲夢の枕」とも呼ばれます。
故事
中国の戦国時代の思想家である列禦寇(れつおくこう)の著書「列子」に記載されている故事が由来です。
あらすじ
- 貧しい若者盧生(ろせい)は、道術を学び、富貴の生活を送りたいと願っていました。
- ある日、旅の途中で邯鄲の宿に泊まり、不思議な枕を見つけます。
- 宿の主人は、その枕を使うと夢を見ることができると説明します。
- 盧生は枕を使って、楚の国の王となり、栄華を極める夢を見ます。
- 夢の中で、何十年もの間、王として君臨し、多くの子供や孫にも恵まれます。
- しかし、ある日病に倒れ、王位を失い、元の貧しい生活に戻ってしまいます。
- 目覚めると、宿の主人が朝食を用意しており、まだ一炊(ひとすい:ご飯を炊く時間)しか経っていないことに気づきます。
- 盧生は、夢で過ごした長い年月が、実際にはほんの一瞬だったことに驚き、人生の栄枯盛衰のはかなさを悟ります。
意味
この故事は、人間の一生は儚く、どんなに栄華を極めても、いつかは終わりを迎えることを示しています。
使い方
「邯鄲の夢」は、主に人生のはかなさや無常を表現したい場面で使用されます。
例文
- 華やかな芸能界も、邯鄲の夢のようなものだ。
- 一時の成功に驕らず、常に努力を続けることが大切だ。
- 人生は邯鄲の夢のように短い。後悔のないように生きよう。
類義語
- 朝露
- 泡沫
- 春の夢
- 南柯一夢
- 黄粱一炊
対義語
- 永遠
- 不変
- 不滅
- 長命
- 長寿
まとめ
「邯鄲の夢」は、人生の栄枯盛衰のはかなさを表す故事成語です。日々の生活の中で、この故事を思い出して、大切な時間を大切に過ごしたいものです。