「一炊の夢」は、ほんの一瞬の夢のように、栄華がはかないことを意味する故事成語です。
由来
八世紀、唐王朝の時代の伝奇小説である「枕中記」に由来します。
あらすじ
邯鄲という町へ向かう道筋にある茶店で、盧生という貧乏な若者が休憩していました。すると、道士の呂翁が現れ、盧生に仙術の書を授けます。盧生は書を枕にして眠ると、夢の中で高官となり、栄華を極めました。しかし、目が覚めると、茶店で粟が炊けているだけでした。夢だったことを悟った盧生は、人生のはかないことを実感し、出家を決意します。
意味
この故事から、「一炊の夢」は、一瞬の夢のように、栄華がはかないことを意味するようになりました。
使い方
- 人生の栄光や成功は、永遠ではなく、いつかは失われるものであることを戒めるために使われます。
- 例えば、「一炊の夢に過ぎぬ」のように、「せっかく手に入れた地位や財産も、いずれ失ってしまうかもしれない」という意味で使われます。
例文
- 社長は、会社の成功に驕ることなく、「一炊の夢」であることを常に心に留めていた。
- 宝くじで大金持ちになった男は、「これは一炊の夢かもしれない」と不安を感じていた。
- 政治家は、選挙で勝利しても、「権力は一炊の夢であることを忘れるな」と自分に言い聞かせていた。
類似表現
- 朝露
- 泡沫
- 春の夢
- 南柯一夢
「一炊の夢」は、人生の無常を象徴する言葉として、古くから親しまれています。