呉越同舟

【漢字】呉越同舟
【読み】ごえつどうしゅう
【意味】敵同士が同じ舟に乗り合わせ暴風にあおられ転覆しそうになったら、助け合わなければいけない。敵や仲の悪い者同士であっても同じ境遇にあると、助け合って協力し合うものである。
【例文1】チームメイトの給水がなくなって、呉越同舟で分ける。
【例文2】同じ高校を目指すライバルと呉越同舟で勉強する。
【例文3】呉越同舟のライバル社と合併する。

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中国の故事に由来する「呉越同舟」

「呉越同舟」という言葉は皆さんも知っていますよね。意味は、仲の悪いとされている者同士や敵味方が同じ場所に居合わせることや同じ境遇にいることです。またその意味から、本来、仲の悪いとされている者同士でも、同じ利害や困難のために協力するというたとえです。

この「呉越同舟」の由来には、中国の春秋戦国時代にあります。かの有名な三国志よりも昔の中国には「呉」と「越」という国があり、戦争を繰り返すほど仲の悪い国同士で有名でしたが、そんな普段から戦争を繰り返すほど仲の悪い「呉」と「越」であっても、両国の人がもし同じ舟に乗り合わせていた時に、舟が暴風に襲われ、転覆しそうになれば、普段の遺恨も忘れてしまい、載っている舟が沈まぬよう「呉」の人も「越」の人も協力し合ったに違いないという孫子のたとえた故事に由来し、この故事から利害が互いに一致すれば、普段はいがみ合う者同士でも同じ目的のために協力し合うという意味になりました。

確かに、普段仲が悪いとされている者同士でも、緊急事態や急を要する時に協力し合っているところを見かけるときがありますよね。

しかし、現在の「呉越同舟」の一般的に使われる意味としては、単に仲の悪い者同士が居合わせるという意味で使われる方が多いそうです。

呉越同舟な状況での実際の対応について考察しました

仲が悪くても切羽詰った状況になれば協力関係が生まれるという意味の呉越同舟ですが、果たして現実に協力するものでしょうか。
まとめ役となるリーダー的な存在がいて全員がその指示に従ってくれれば問題ないでしょう。
しかし初期条件であるリーダーを選出する時点で既に綻びが生じます。
仲の悪い二つのグループのどちらかからリーダーが選出されれば、リーダーが所属していないグループが素直に従う道理がありません。
ことあるごとに反発して最終的には別行動をとることになる可能性すらあります。
そもそも仲が悪い二つのグループが同じ場所で同じ状況になることなど起こりえません。
仲が悪い理由は大抵が利害関係、片方だけが利益を得ている状況でもう片方が一方的に迷惑を被っているが多いです。
虐げられた側が協力を申し出たり、それまで居丈高に振舞ってきた側がへりくだることなどないでしょう。
二つのグループが一つの舟に乗った時点で沈没は決定しているようにすら思えます。
呉も越も中国の春秋戦国時代の国名で、春秋戦国時代は紀元前770年頃から紀元前221年頃というとんでもなく大昔の国です。
分裂したり統合したり地域や国家どころか国家郡で争って現在に至るわけですが、人類がどれほど成長したかといえば効率良く相手に被害を与えられるようになった程度です。
利害が絡んで個々人が自分の利益をひたすらに追求する限り何度でも舟が転覆・沈没する歴史がこれからも繰り返されると思うと少し虚しくなります。