暖簾を分ける

【漢字】暖簾を分ける
【読み】のれんをわける
【意味】従業員や弟子が独立する際に商号を分け与える。
【例文1】暖簾を分けした弟子がお店を構えた。
【例文2】信頼できる従業員に暖簾を分ける。
【例文3】暖簾を分けの契約書を交わす。

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「暖簾を分ける」は大変なこと

「暖簾を分ける」というのは長年忠実に務めてきた商家の奉公人に店を出させて、同じ屋号を名乗ることを許可することです。文字通り、本店の商号や屋号を染め抜いた暖簾を使うことができたので、お店を新しい場所や離れた場所に出したとしても、お店の信用が受け継がれましたから、商売をするうえで有利になりました。また、そうした際には、資金援助をするとか、商品を貸与したり、お得意先を分けたりと、いろいろ便宜を図るのが常でした。中には新しい店で雇う従業員まで派遣してもらえたり、紹介してもらうこともありました。この従業員の派遣、紹介制度は、新しい店にとってどんなに心強いことだったかと思われます。従業員は昔は住み込みが当たり前でしたから、お店の内容、お客様の事情、店主の人間関係まですべて従業員には筒抜けです。悪い従業員を雇ってしまえば、お金を横領されたり、持ち逃げされたり、挙句のはてには窃盗団の手先として、お店の内情を偵察されたりしてはかないません。そのうえ、従業員が何か悪事を働けば、お店の主人までが従業員の指導不足ということで、罪に問われた時代もあります。本店の主人ともなれば人を見る目もありましょうし、人脈をいかして、従業員の身元調査もできたでしょう。「暖簾を分ける」というのは、分ける側にとっても大事だったに違いありません。