柳に雪折れなし

【漢字】柳に雪折れなし
【読み】やなぎにゆきおれなし
【意味】しなやかな柳に雪が積もっても折れないことから、柔らかいものは堅いものより意外と丈夫である。
【例文1】場合によっては大人より子どもの考え方が、柳に雪折れなしの柔軟性がある。
【例文2】こんな小さい物でも耐久性に優れた柳に雪折れなしだ。
【例文3】小さいけど作りは頑丈で柳に雪折れなしだ。

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「柳に雪折れなし」と小野道風

「柳に雪折れなし」とは「柔軟なものは堅剛なものよりもよく事に堪えることができる」という意味です。柳で思い浮かべるのは小野道風(おののとうふう・みちかぜ)です。というと花札を思い浮かべる方もあると思います。そうです、花札に小野道風が傘をさして、柳に飛びつこうとする蛙を眺める絵柄があります。小野道風は平安中期の書家で三蹟の一人に数えられています。祖父は小野篁(おののたかむら)という平安前期の官人でありながら、学者であり、歌人であった人です。小野道風は若くして書に秀でた人でしたが、彼もスランプに悩んだ時があり、自分の才能のなさに嫌気がさしてもう筆を折ろうかとまで悩みます。そんな時、雨の中で、一本の柳の枝に跳びつこうと必死にジャンプする蛙を見つけます。届きもしないのに何度もチャレンジしている蛙を見て道風は「馬鹿な蛙よ、届きもしないのに何度も跳んで」と考えていたところ、突然強い風が吹いて柳の枝がしなり、蛙は跳びつくことに成功します。それを見た道風は「馬鹿なのは己の方であった。蛙は一所懸命に努力をすることで、偶然を自分のものとしたではないか。自分はまだこの蛙ほどの努力をしてはいないではないか」と考え直し、走って家に戻りました。その後、彼は必死に努力をし、柳のように耐え書家としての地位を築くのです。この逸話が戦前の道徳の教科書に載ったことから有名になりました。残念ながら真偽のほどは確認できないそうですが、今では花札の中にこの話は残っています。