そうは問屋が卸さない

【漢字】そうは問屋が卸さない
【読み】そうはとんやがおろさない
【意味】問屋とは製造業者から商品を買い付け、店に卸売りする業者で、そんな安い値段では売る事はできないという場面から、そう簡単に望み通りには応じられないという意味。
【例文1】そうは問屋が卸さないと言わんばかりにオークションの値が上がる。
【例文2】共同経営を持ちかけられたが、そうは問屋が卸さない。
【例文3】掲示された立ち退き料ではそうは問屋が卸さない。

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問屋が卸さない」とざわつく音楽業界

JASRACが音楽教室で演奏される楽曲についても著作権料を徴収すると発表したことに対して、ヤマハが提訴したニュースが話題となっています。
今まで著作権料を徴収していなかったところから新たに著作権料を徴収するという方針にはCDをはじめとした音楽業界全体の売り上げ減少や違法ダウンロードなどの問題があるとされていますが、それによって減った収入を音楽教室で演奏される楽曲の著作権料で補填するようなやり方はどうかと思います。
ミュージシャンの著作権を守るのであれば、違法ダウンロードの撲滅に力を入れることの方が先決ではないかと思うのですが、このようなやり方は音楽の未来を閉ざしているようで自分で自分の首を絞めているような印象も受けます。
日常で音楽が使用される場面は多くありますが、間口を広げてやたらと著作権料を請求するだけでは時代に取り残されるだけなのではないでしょうか。
「そうは問屋が卸さない」とは売値を安くしても問屋が卸してくれるはずもなく、物事はそう上手くはいかないといった世の中の仕組みを例えた言葉です。
今回の音楽教室からの著作権料徴収では著作権を持っているミュージシャンからも異論の声が上がっており、逆転現象のような不思議な構図になっています。

そうは問屋が卸さないとは?

そうは問屋が卸さないとはどいういう意味でしょうか?
言葉そのものから考えると、問屋さんも何かメリットがなければ簡単には品物は卸してはくれない。何かを勝ち取ろうとするのであればそれなりの努力をしなさいといった意味でしょうか?では本来の意味を調べてみます。物事はそう簡単には思い通りにはいかないといった意味のようです。
でも、実際に問屋さんが商社にそうは問屋が卸さないなどとは、あまり使えません。
しかし江戸時代は今の状況とは随分違っていたようです。
卸し価格は問屋が決めていて、店の望む値段では品物をおろしてはくれなかったようです。
江戸時代では商社より圧倒的に問屋さんのほうが権力が上だったということです。
今の時代は物があふれていて、商社が何を仕入れるか数ある中から厳選して、商社の気に入ったものを仕入れるほうが主流だと思います。
もし問屋さんが江戸時代の風流に任せて今の時代で「そうは問屋が卸さないですよ」などと交渉の場面でいったら、商社の方は「ああそうですか。かまいませんよ。どうぞお引き取りください。あなたのところとお取引しなくても他はたくさんいますから。」と言われ、二度と取引をしてもらえなくなり問屋存続の危機になりかねません。

そうは問屋が卸さない?許さない?

文化庁が発表した平成27年度の「国語に関する世論調査」で「そうは問屋が卸さない」と「そうは問屋が許さない」どちらの言い方を使うか尋ねたところ23.6%の人が「そうは問屋が許さない」と誤った方を使っているそうです。確かに「そうは問屋が許さない」でもなんとなく意味は通じますが正しくは「そうは問屋が卸さない」です。「そうは問屋が卸さない」の語源は江戸時代は問屋〔商品を仕入れて小売店などに卸売りする業者〕が強かったので卸売りの値段は問屋が決めていてこちらの望む値段では商品を卸してくれないことに由来しているそうです。また「そうは問屋が卸さない」のそうは「然う」と書きそのようにという意味でいくら客の要望でも問屋はそのように安い値段では卸さないという意味になり、なかなか思い通りにいかない、身勝手な要求をしても簡単には応じてもらえない、物事はそんなに上手くはいかないなどの意味でそう簡単にはいかない、そんなに甘いものではないのようなニュアンスを含んでいます。ことわざや慣用句はなんとなく意味が分かったつもりでいても意外と誤った使い方や言い方をしている場合も多いことです。正しい意味や語源を知ることでそう言った間違いを正すこともできます。