糠に釘

【漢字】糠に釘
【読み】ぬかにくぎ
【意味】柔らかい物に釘を打っても何の手ごたえもない事から効き目がない。
【例文1】いつも部屋を片付けるように言っても糠に釘で呆れる。
【例文2】彼には何を提案しても糠に釘で聞く耳持たない。
【例文3】頑固な彼には何言っても糠に釘だ。

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「意見をしても効き目のない様子」

「糠に釘」という言葉がありますが、これは「意見をしても効き目のない様子」という意味です。ぬか床のぬかに釘を打ち付けようとしても、釘がずぶずぶ入っていくばかりで利かず、何の押さえにもなりません。それを、「いくら言って聞かせてものらりくらりと言うことをきかない様」と似ているとの例えです。同じような意味の言葉に「暖簾に腕押し」や「豆腐にかすがい」があります。かかっている暖簾をいくら腕で押してもなんのとっかかりもないように、効き目はありません。豆腐にかすがいをつけようとしても何も利きません。その様子が「意見しても効き目のない様子」を連想させるのです。「糠に釘」は江戸期に作られた「いろはかるた」に入っている慣用句で、上方(京都系)で作られたカルタに用いられて全国へ広まったのが始まりです。「いろはかるた」は簡単な言葉遊びから教訓めいたものまで、いろいろ含まれますが、江戸時代の人の粋、洒落(シャレ)が垣間見える遊びで文化と言えましょう。「糠に釘」を一番頻繁に頭に思い浮かべる人はおそらく、反抗期の子どもを持つ親か、その世代の子どもの教育を担う関係者の皆さんではないでしょうか。「糠に釘だったか」と呟いてため息をつくのは、現代人ばかりではなく、江戸時代の人たちもそうだったのでしょう。カルタにまで残すほどですから・・

「糠に釘」似たような言葉は?

「糠に釘」。糠はぬかと読みます。漬物とかを漬けるぬか床の事ですね。大変柔らかいものですので、釘を打とうと思っても沈んでしまって打つことが出来ない、つまり無駄な労力であることを示します。この無駄な労力を意味することわざ、日本語にはたくさんあります。何故同じ意味の言葉がこんなにいっぱいあるのか?と思うところですが、それは置いておいて幾つか見てみましょう。
のれんに腕押し。これも無駄を示す言葉ですね。のれんは押して開けるものではなくめくって潜るものですので、押さないでいいから進みなさいよ、という声が聞こえてきそうです。
馬の耳に念仏。いくらありがたいお経を唱えたとしても、人の言葉を理解できない馬相手では意味が無いことを示します。また、日本における馬というのは家畜ではなく武士の所有物という側面が強いものです。念仏は馬にではなく、人=武士に聞かせなければ意味が無いだろう、というニュアンスもあるようですね。
豚に真珠。実はこれだけ意味が違います。確かに豚に真珠を渡したところで無駄なのは間違いないのですが、それ以上に持ち主が貴重なものの価値を知らない、という意味で使われるためです。似たような意味かと思いきや、実はほんの少しだけ違うのですね。