君子は豹変す

【漢字】君子は豹変す
【読み】くんしはひょうへんす
【意味】賢い者は間違いを認めて正すという意味が、豹変(良かったものが悪くなった)のイメージでいつの間にか自分の都合により態度を変えるという悪い意味に変わってしまった。
【例文1】さっきまでおとなしかったお母さんが泣き声を聞くと子どもを叱りつけ君子は豹変す。
【例文2】温厚な同僚がリストラ候補に遭い、嫌がらせを始め君子は豹変す。
【例文3】今夜は合コンだと君子は豹変す。

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「君子は豹変す」は良い意味? 悪い意味?

だいぶ前のことですが、会社の同僚がこんなことを言いました。
「あのミーティングの時には、課長は『今の売り上げはいい線いってるから、この数字をキープするように』と言ってたのに、急に『こんな数字じゃぜんぜんダメだ』なんて言い出すんだから、参るよ。上からかなり厳しく言われたんだろう。まったく、『君子は豹変す』だよな」
同僚は、上から言われて急に態度や言うことが変わった課長についてのグチを言っているわけです。つまり、この場合の「君子は豹変す」は、良くない意味で使われていると考えていいでしょう。
しかし、私は違和感を抱きました。というのも、私はこの言葉を良い意味に解釈していたからです。「君子と呼ばれるような徳の高い立派な人間は、自分のあやまちに気づいたら、すぐにそれを改めることができる」というのが、私の解釈です。
自分が間違っているのかもしれないと思い、その時は同僚にそのことを指摘することはせず、調べてみることにしました。
この言葉は中国の『易経』に出てくる言葉で、やはり、私のように解釈するのが元来の使い方だということがわかりました。しかし、だんだん、同僚のようによくない意味で使われるようになってきたらしいのです。 
これは、私の想像ですが、「豹」という猛獣にネガティブなイメージがあるからなのかもしれません。「穏やかだった人が凶暴な肉食獣のように変わる」というイメージが、違う意味に解釈されるようになった原因なのではないでしょうか。