軒を貸して母屋を取られる

【漢字】軒を貸して母屋を取られる
【読み】のきをかしておもやをとられる
【意味】商人の軒先の一部を別の商人が貸してと頼んできた。この商人は商売上手だった。客が増え店が繁盛したので、軒先だけでは狭くもう少し貸してほしいと言ってきた。一方家主の商売はうまくいかず、のちに新しい店主になり代わったことから、一部を貸しただけなのに全部取られてしまう始末。人に裏切られた時に使う。
【例文1】色塗りを手伝ってもらったら彼のほうが上手く、仕事の依頼を持って行かれ軒を貸して母屋を取られた。
【例文2】彼女を友人に紹介したら友人に奪われ軒を貸して母屋を取られる。
【例文3】仕事のノウハウを教えた後輩が出世して軒を貸して母屋を取られる。

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軒を貸して母屋を取られるの意味や語源とは

「軒を貸して母屋を取られる」とは一部を貸したら、やがて全てを奪われてしまう。保護をした相手に恩を仇で返されてしまう。という意味合いの言葉です。

雨の日に商人の家に若い男が雨宿りをさせてほしいと言いにやってくる。人の良い商人は若い男に軒先を貸す。段々と雨が強くなり、若い男に同情した商人は家の中に入れてやる。話を聞いてみると男には行く当てがどこにもないと言うので、商人は自分の商売を手伝わせることにした。働かせてみると、若い男は商売が上手で口がたつために従業員やお客さんの評判が商人よりも良い。いつの間にやら商人の影は薄くなってしまい、若い男に店を乗っ取られてしまう。
これが「軒を貸して母屋を取られる」の語源とされている話です。

この話のように実際に母屋などの物を取られる場合だけではなく、可愛がっていた後輩に自分の仕事を教えて人脈を紹介した後に裏切られてしまったなどのケースでも、「軒を貸して母屋を取られる」のことわざは使えます。

類義語には自分の大切にしていた犬に噛まれてしまうという意味の「飼い犬に手を噛まれる」、鉈を貸してあげたつもりが自分の山を伐られてしまう「鉈を貸して山を伐られる」などの言葉があります。