海千山千

【漢字】海千山千
【読み】うみせんやません
【意味】長い年月の経験で裏の事情まで知り尽くしている。したたかである。
【例文1】海千山千の政治家が私的の経費流用問題をうまく切り抜る。
【例文2】海千山千で帳簿を改ざんする。
【例文3】利用できるものは海千山千でも利用する。

海千山千をテーマにした記事

「龍になる」という故事に由来するのになぜか良くない意味で使われる「海千山千」

「あいつは海千山千だから一筋縄ではいかない」とか、「あの社長は海千山千だから用心したほうがいい」というように使われる海千山千。
人生経験が豊富でものごとの表も裏も知り尽くしているため、したたかである様子を表現した言葉ですが、そこには「悪賢い」というニュアンスが含まれています。つまり、この言葉はネガティブな意味で使われると考えていいでしょう。
相手に対して、「あなたは経験豊富だから、さぞ海千山千でしょう」とほめ言葉のように使うのは誤りなわけです。
ところで、多くの人がよく使う言葉ではありますが、どうしてこの言葉にそのような意味があるのか、言葉の由来を知っている人はそう多くはないのではないでしょうか。
これは、「海に千年、山にも千年住んだ蛇は、龍になる」という中国の故事に由来しているとのこと。それだけの経験を積めば、確かにしたたかになるに違いありません。
人生長く生きていると様々な事が身に付いてきます。裏社会の事情にも詳しくなっていくのは自然な事でもあります。それを使うか使わないかは別として、なる者は裏事情を利用してずる賢くもわれるわけですね。法に触れない程度の事は私もしていないと言えばウソになります。もう今の街に住んで40年になります。年長の住民さんとの付き合いも長いことですし、町内会ではかなり優遇してもらっております。

海千山千の職場の思い出

学校事務の仕事をしていた時、出会った人たちは職場に独特の適応をしている方々がいらっしゃいました。
当時私の採用された県の小中学校の事務職員は非常勤の職員を除いて原則として、各学校に一人配置です。新規採用のときから一人で仕事をし、一人で感情労働で疲弊した教員たちの相手をしなければなりません。

大きな学校は事務職員が二人いる場合もあるのですが、私が新規採用のとき配属された学校もそういった学校の一つでした。
50代のベテラン事務職員といっしょだったのですが、この方が普通と言えば普通なのですが、ちょっと変わっていました。飲み会大好きで、声が大きく、口は悪いが、見ようによっては愛すべきキャラで、人生経験の浅い自分には魅力的に見える部分もありました。そう思い続けていたものの、なにかうまくいきません。いつまでたっても分かり切ったことを事細かに説明されるし、黙って仕事をしていると不安がられイライラされるし、他の職員の自分への当たりも変です。
その方は頭があまりよくないようでしたが、それをカバーするために私を貶めることを吹聴されているようでした。私が悪いのかなと思うように仕向け、本人にわからないように悪い噂を流すワザはとても自然でまさに海千山千、今にして思えば前近代的な雰囲気の学校を長年一人で渡ってこられた方のある意味生きる力だったのだなと、思い出します。