寝首を掻く

【漢字】寝首を掻く
【読み】ねくびをかく
【意味】寝ている時に首を斬られるたとえから、卑怯な手段で相手を陥れること。
【例文1】足が痛いと言っていた彼が、ゴール寸前で寝首を掻いて全力で追い抜いてきた。
【例文2】審判が見えない所で反則をして寝首を掻く。

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「寝首を掻く」という行動がもたらしたもの

「寝首を掻く」は「人が寝ている時に襲ってその首を落とすこと。転じて卑怯な戦略を用い、不意をついて陥れること」です。随分物騒な言葉です。「寝首を掻かれた」ことで有名な人のひとりは新選組の芹沢鴨です。新選組は江戸の末期に、徳川幕府の幕藩体制を守り将軍を警護するために作られた武闘集団です。新選組は始め芹沢鴨と近藤勇の二人体制でした。彼らが京都に足を踏み入れ、まず行った活動が金策です。資金調達のために大阪に下り、両替商に用心棒兼警備を請け負う代わりにお金を用立てさせて、必要なお金を工面します。また、彼らには局中法度という隊規がありました。
局中法度(禁令五ヶ条)
一.士道に背きまじきこと
二.局を脱するを許さず
三.勝手に金策いたしべからず
四.勝手に訴訟取り扱うべからず
五.私の闘争を許さず


この違反者は死罪という大変厳しいものでした。ある日、芹沢鴨は協力的だった商家が、余所にも用心棒を頼んでいたことに立腹し、家に大砲を打ち込み焼き討ちにします。これに業を煮やした会津藩主の指示で、しばらくたった夜に女性と寝ていた彼は女性共々、寝首を掻かれます。表向きは賊に侵入されて殺されたことにしますが、新選組の内部では局長ですら局中法度に背けば粛清されるという、いわば見せしめになったことで健全性を欠いた組織に傾いていきます。「寝首を掻く」という行動がもたらした結果が「泣く子も黙る新選組」を作りあげるのです。