人間万事塞翁が馬の具体例5|売れ残りが拾われた話

フリーのイラストレーターの友人の話です。フリーと言えば聞こえがいいけど、つねに注文があるわけでも売れる店舗があるわけでもなく、ごくたまに催事で出す程度です。これの売れ残った作品を指定のギャラリーに置いていたそうです。
そのギャラリーが急に移転することになった、作品を取りに来て下さいと言われたのですが、バイトが重なって日程が合いません。残り3つだし、では送ってくれますかと言えば、忙しくて無理との答え。そこを食い下がると、送料負担でよければ折り返し連絡しますと。そしてそれっきりでした。
一応は、と友人は悔しげに言うのです。時間をかけて苦労して描いたものであると。それを取りに行けないし送っても貰えないとしたら、引っ越しゴミにでもされるのだろうね。
それも仕方がない、と、もう相手方に連絡もせず放置して5日余り、思わぬところから電話が来たといいます。そのギャラリーに自分の作品を取りに来たら見かけて気に入ったので全部買いたい、ただ、まとめて買うから値引きして貰えないかという話。
本人はびっくりして、引き取って頂けるだけでも有り難いです、ただで宜しいですと言ってしまいました。でもその方はちゃんと値段を提示して、その通りに振り込んで下さったそうです。
まさに大逆転です。しかし自分の力ではどうにもならないところを、良い人に見つけて貰ったおかげに違いありません。その3つはずっと残っていたのにその人が来たときなぜ目についたのかと言えば、ギャラリーは移転のためにその作品を壁から外し、ちょっと目立つ通路側に移動して置いたそうです。